山にまつわる怖い話 雷鳥。 【洒落怖】山にまつわる話(Part4)

自販機の幽霊

山にまつわる怖い話 雷鳥

知り合いの話。 とある鄙びた峠道を歩いていると、いつの間にか犬が一頭、後をついてくる。 痩せた白い体毛の犬で、首には大きな風呂敷包みを提げている。 彼の方を見上げてクンクンと鼻を鳴らすので、魚肉ソーセージを分けてやった。 犬は喜んでむしゃぶりついて食べ始めたが、その際にどこか緩んだものか、 首から風呂敷が外れて落ちた。 軽い金属音が響き、風呂敷から小さい物が零れて出てくる。 古銭だったという。 結構な量が入っていたそうだ。 犬が困ったような顔をしたように見えたので、古銭を丁寧に拾い集め、 風呂敷に包み直してから、首にしっかり結わえてやったという。 犬は彼の手に頭を擦りつけると、早足で道を駆けていったそうだ。 その少し後、休憩中に行き会った登山者に、この犬の話をしてみた。 「変わった首輪をした犬を見かけましたよ」と。 登山者はどこか哀しそうな顔をすると、次のようなことを教えてくれた。 「それって、おかげ犬っていうんですよ。 昔、お伊勢参りに行きたくても行けなかった人が、自分の替わりとして飼い犬に 餌代とお賽銭を持たせて、伊勢神宮まで送り出したってことらしいです。 割りとあったことだそうで、無事に伊勢の御札と奉納受領書を持って帰ってきた という話はあちらこちらに残っているんだとか」 山関係で幾つか知ってる話はあるんですが、その中で印象に残った実体験をしますね。 大学の頃、友達の間でキャンプが流行った時期がありました。 キャンプと言っても大学生の遊び感覚ですんで、まあ海辺や川辺で酒飲んだり食べたり、騒いで寝る、って感じですね。 んで、ある年の夏の事です。 俺を含め友達4人で、某山の近くを流れる川辺でキャンプしたんです。 そこは市街地から行き易いけど民家が一軒も無い、それなりに山の中って感じで、自然を満喫したんです。 結構騒いだり飲んだりして、後片付けして寝たのは午前0時過ぎぐらいだったかな? で、寝てから暫く経った頃、友人Aが俺を起こすんですよ。 俺「何だよ、眠いよ。 小便は一人で行けよ」 A「いや、違うんだって。 小便もしたいけど。 それより変な音、聞こえるだろ?」 で、眠気と戦いながらも耳を澄ますと、確かに小さいけどカチッカチッって感じの音がするんです。 その頃には他のメンバーも起きてて、「夜中に、こんな音出すってさ。 やっぱりアレだ、丑の刻参りだよな」って話になったんです。 昔馴染みの話。 昔、仕事で東南アジアの山に籠もっていた時のことらしい。 現地の連れと一緒に歩いていると、道の傍ら奥の木に何かぶら下がっていた。 立ち止まって確認してみると、それは白いハンモックだった。 「何でこんな人も来ないような山奥に、こんな物があるんだ?」 興味を覚えた彼が近寄ろうとすると、連れが慌てて止めてきた。 「近づいちゃダメです。 アレは魔物かもしれない」 「この辺りには、昔からハンモックの真似をする魔物がいる」と連れは言う。 うっかり中に入る人間がいると、クルッと巻き付いてから、山奥へ連れ去るらしい。 別の山では、テントに化ける類いの魔物話も伝わっているのだとか。 「アレが魔物なのかはわからないが、まず人が来ないであろうこんな場所に、 あのような物が据えられていること自体がおかしいと思います。 大体、アレは綺麗すぎます。 まるで設置されたばかりみたいです。 ここの山は深いから、何が潜んでいるかなんて誰にもわからない。 怪しいモノには近づかないことが、身を護る基本ですよ」 そんな風に説得され、無視してその場を通り過ぎたのだそうだ。 岐阜県の低山をトレッキングしてる時、妙に気が引かれる祠があって、 そこで5枚ばかり写真を撮った。 「写るんです」っていうカメラ付きフィルムと称されてる奴で、 俺みたいなド素人でもミス無く写真が撮れて、二重取りみたいに手を加えることも無理というカメラ。 帰宅後、現像に出した写真を時系列で見てると、祠の写真が一枚もない。 ネガを確認すると、祠を写した部分がきっちり5枚分。 感光して真っ黒だった。 その前後はしっかり写ってるからカメラに問題はなかったことは明らか。 写真屋に持ち込んで聞いたら、太陽のような強烈な光源に向けてシャッターを押してしまったんじゃないかとのこと。 でも、祠は移るかなと不安になるほど薄暗かった。 今でもどうしてそんなことになったのかわからない。 ちなみに、旅行の写真とネガは大切に保管してるんだけど、 数年後にその出来事を思い出して再確認しようとしたところ、 写真もネガも無くなってた。 勝手に証拠隠滅した祠の住人!!1 ちょっと名乗り出てみぃやぁw 知り合いの話。 飼っていた猫が外のガレージで仔を産んだ。 そのガレージは山に面した奥側にあり、家族の他は誰も入らない。 猫好きとしては是非抱き上げたかったが、母猫を刺激するのも良くないと考えて、 仔猫がしっかりするまで、あまり近よらないことにした。 そんなある晩、不穏な叫び声で目を覚ました。 母猫が興奮していきり立った鳴き声を上げている。 ガレージに駆け付けると、山側の窓が破られ、そこから黒くて細い物が侵入していた。 何というか、特撮のストップモーションみたく、カクカクとした不自然な動きだった。 「仔猫を獲りに来たのか!?」 側にあった鉈を手にし、必死でそれに叩き付ける。 何度も斬り付け、半ばから切り落とすと漸く、それは外の闇へ引き上げていった。 明かりを点けて残骸を確認する。 ガレージに残されていた物はすべて、細く拗くれた柳の枝だった。 摘み上げてみたが、先程の騒ぎが嘘のように、ピクリとも動かない。 「古柳ってのは化けたりするのかねぇ。 家の近くには、柳なんてどこにも生えてないんだけどな。 まぁ、仔猫が攫われなくて良かった良かった」 ちなみに現在、猫は屋内の納戸で仔を産むようになっているそうだ。 友人の話。 学生時代、盆に実家へ帰省した時のことだ。 そこは鄙びた山里で夏でも涼しく、避暑にはうってつけの場所らしい。 祖父母の世話になりながら、例年の如くノンビリと過ごしていたある日。 里の外れに人集りが出来ていた。 「どうしたんだろう?」と好奇心を引かれ、近くへ寄ってみたという。 事情を聞くと、里で一番の大木に、何物かが引っ掻いた痕が付いているとのこと。 指差す所を見ると、確かに大きく抉れた傷が、木の幹に刻まれている。 どの傷痕も、人の腰高くらいの位置に付いていた。 「熊でも出たんですか?」恐る恐るそう尋ねてみると、 「いや、これが爪の痕だとすると、熊よりずっと大きな何かだ」という返事。 驚いて他の里人たちの顔を見回したが、皆同じ意見のようだ。 彼の表情を見た近所の小父さんが、安心させるように肩を叩いて教えてくれた。 「心配するな、ここの里じゃ偶に現れる傷でな。 爪の主はこれまで人に目撃されたことも、危害を加えたこともない。 人を避ける性質みたいでな、正体は誰にもわからんのよ」 集まっていた人も恐れている様子はなく「随分と久し振りに出たな」という感じで、 傷痕を前に四方山話に耽っていたのだそうだ。 山村で聞いた話。 その集落では昔、神隠しが多発していたという。 といっても、隠されていたのは人ではなく自転車だった。 停めていたはずの自転車が、いつの間にか失くなっていることがよくあった。 狙われたのは大体が子供の自転車だったらしい。 話を聞かせてくれた人は、グラウンドで野球をしていた時に取られたという。 自転車は、皆の目が届く開けた場所に停めてあった。 どうやって誰にも見つからずに持ち去ったというのか、それが今でも不思議だという。 隠された自転車だが、半月ほどすると必ず、持ち主の家の門前に返されていた。 荷籠に山菜や柿などを満載にして。 「この山の主様は、時々チャリンコに乗りたくなるんだろうな」 村ではそう言われていたそうだ。

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【山に纏わる怖い話】放屁した誰か

山にまつわる怖い話 雷鳥

知り合いの話。 とある鄙びた峠道を歩いていると、いつの間にか犬が一頭、後をついてくる。 痩せた白い体毛の犬で、首には大きな風呂敷包みを提げている。 彼の方を見上げてクンクンと鼻を鳴らすので、魚肉ソーセージを分けてやった。 犬は喜んでむしゃぶりついて食べ始めたが、その際にどこか緩んだものか、 首から風呂敷が外れて落ちた。 軽い金属音が響き、風呂敷から小さい物が零れて出てくる。 古銭だったという。 結構な量が入っていたそうだ。 犬が困ったような顔をしたように見えたので、古銭を丁寧に拾い集め、 風呂敷に包み直してから、首にしっかり結わえてやったという。 犬は彼の手に頭を擦りつけると、早足で道を駆けていったそうだ。 その少し後、休憩中に行き会った登山者に、この犬の話をしてみた。 「変わった首輪をした犬を見かけましたよ」と。 登山者はどこか哀しそうな顔をすると、次のようなことを教えてくれた。 「それって、おかげ犬っていうんですよ。 昔、お伊勢参りに行きたくても行けなかった人が、自分の替わりとして飼い犬に 餌代とお賽銭を持たせて、伊勢神宮まで送り出したってことらしいです。 割りとあったことだそうで、無事に伊勢の御札と奉納受領書を持って帰ってきた という話はあちらこちらに残っているんだとか」 山関係で幾つか知ってる話はあるんですが、その中で印象に残った実体験をしますね。 大学の頃、友達の間でキャンプが流行った時期がありました。 キャンプと言っても大学生の遊び感覚ですんで、まあ海辺や川辺で酒飲んだり食べたり、騒いで寝る、って感じですね。 んで、ある年の夏の事です。 俺を含め友達4人で、某山の近くを流れる川辺でキャンプしたんです。 そこは市街地から行き易いけど民家が一軒も無い、それなりに山の中って感じで、自然を満喫したんです。 結構騒いだり飲んだりして、後片付けして寝たのは午前0時過ぎぐらいだったかな? で、寝てから暫く経った頃、友人Aが俺を起こすんですよ。 俺「何だよ、眠いよ。 小便は一人で行けよ」 A「いや、違うんだって。 小便もしたいけど。 それより変な音、聞こえるだろ?」 で、眠気と戦いながらも耳を澄ますと、確かに小さいけどカチッカチッって感じの音がするんです。 その頃には他のメンバーも起きてて、「夜中に、こんな音出すってさ。 やっぱりアレだ、丑の刻参りだよな」って話になったんです。 昔馴染みの話。 昔、仕事で東南アジアの山に籠もっていた時のことらしい。 現地の連れと一緒に歩いていると、道の傍ら奥の木に何かぶら下がっていた。 立ち止まって確認してみると、それは白いハンモックだった。 「何でこんな人も来ないような山奥に、こんな物があるんだ?」 興味を覚えた彼が近寄ろうとすると、連れが慌てて止めてきた。 「近づいちゃダメです。 アレは魔物かもしれない」 「この辺りには、昔からハンモックの真似をする魔物がいる」と連れは言う。 うっかり中に入る人間がいると、クルッと巻き付いてから、山奥へ連れ去るらしい。 別の山では、テントに化ける類いの魔物話も伝わっているのだとか。 「アレが魔物なのかはわからないが、まず人が来ないであろうこんな場所に、 あのような物が据えられていること自体がおかしいと思います。 大体、アレは綺麗すぎます。 まるで設置されたばかりみたいです。 ここの山は深いから、何が潜んでいるかなんて誰にもわからない。 怪しいモノには近づかないことが、身を護る基本ですよ」 そんな風に説得され、無視してその場を通り過ぎたのだそうだ。 岐阜県の低山をトレッキングしてる時、妙に気が引かれる祠があって、 そこで5枚ばかり写真を撮った。 「写るんです」っていうカメラ付きフィルムと称されてる奴で、 俺みたいなド素人でもミス無く写真が撮れて、二重取りみたいに手を加えることも無理というカメラ。 帰宅後、現像に出した写真を時系列で見てると、祠の写真が一枚もない。 ネガを確認すると、祠を写した部分がきっちり5枚分。 感光して真っ黒だった。 その前後はしっかり写ってるからカメラに問題はなかったことは明らか。 写真屋に持ち込んで聞いたら、太陽のような強烈な光源に向けてシャッターを押してしまったんじゃないかとのこと。 でも、祠は移るかなと不安になるほど薄暗かった。 今でもどうしてそんなことになったのかわからない。 ちなみに、旅行の写真とネガは大切に保管してるんだけど、 数年後にその出来事を思い出して再確認しようとしたところ、 写真もネガも無くなってた。 勝手に証拠隠滅した祠の住人!!1 ちょっと名乗り出てみぃやぁw 知り合いの話。 飼っていた猫が外のガレージで仔を産んだ。 そのガレージは山に面した奥側にあり、家族の他は誰も入らない。 猫好きとしては是非抱き上げたかったが、母猫を刺激するのも良くないと考えて、 仔猫がしっかりするまで、あまり近よらないことにした。 そんなある晩、不穏な叫び声で目を覚ました。 母猫が興奮していきり立った鳴き声を上げている。 ガレージに駆け付けると、山側の窓が破られ、そこから黒くて細い物が侵入していた。 何というか、特撮のストップモーションみたく、カクカクとした不自然な動きだった。 「仔猫を獲りに来たのか!?」 側にあった鉈を手にし、必死でそれに叩き付ける。 何度も斬り付け、半ばから切り落とすと漸く、それは外の闇へ引き上げていった。 明かりを点けて残骸を確認する。 ガレージに残されていた物はすべて、細く拗くれた柳の枝だった。 摘み上げてみたが、先程の騒ぎが嘘のように、ピクリとも動かない。 「古柳ってのは化けたりするのかねぇ。 家の近くには、柳なんてどこにも生えてないんだけどな。 まぁ、仔猫が攫われなくて良かった良かった」 ちなみに現在、猫は屋内の納戸で仔を産むようになっているそうだ。 友人の話。 学生時代、盆に実家へ帰省した時のことだ。 そこは鄙びた山里で夏でも涼しく、避暑にはうってつけの場所らしい。 祖父母の世話になりながら、例年の如くノンビリと過ごしていたある日。 里の外れに人集りが出来ていた。 「どうしたんだろう?」と好奇心を引かれ、近くへ寄ってみたという。 事情を聞くと、里で一番の大木に、何物かが引っ掻いた痕が付いているとのこと。 指差す所を見ると、確かに大きく抉れた傷が、木の幹に刻まれている。 どの傷痕も、人の腰高くらいの位置に付いていた。 「熊でも出たんですか?」恐る恐るそう尋ねてみると、 「いや、これが爪の痕だとすると、熊よりずっと大きな何かだ」という返事。 驚いて他の里人たちの顔を見回したが、皆同じ意見のようだ。 彼の表情を見た近所の小父さんが、安心させるように肩を叩いて教えてくれた。 「心配するな、ここの里じゃ偶に現れる傷でな。 爪の主はこれまで人に目撃されたことも、危害を加えたこともない。 人を避ける性質みたいでな、正体は誰にもわからんのよ」 集まっていた人も恐れている様子はなく「随分と久し振りに出たな」という感じで、 傷痕を前に四方山話に耽っていたのだそうだ。 山村で聞いた話。 その集落では昔、神隠しが多発していたという。 といっても、隠されていたのは人ではなく自転車だった。 停めていたはずの自転車が、いつの間にか失くなっていることがよくあった。 狙われたのは大体が子供の自転車だったらしい。 話を聞かせてくれた人は、グラウンドで野球をしていた時に取られたという。 自転車は、皆の目が届く開けた場所に停めてあった。 どうやって誰にも見つからずに持ち去ったというのか、それが今でも不思議だという。 隠された自転車だが、半月ほどすると必ず、持ち主の家の門前に返されていた。 荷籠に山菜や柿などを満載にして。 「この山の主様は、時々チャリンコに乗りたくなるんだろうな」 村ではそう言われていたそうだ。

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自販機の幽霊

山にまつわる怖い話 雷鳥

うろおぼえなんですが、 祖父の部隊がある山中を行軍中、戦友数人とともに夜間斥候(偵察)にでたとき、 前方の草むらに人が立ったかと思うと、急に見上げるほど背がのびていき、 一つ目入道がたちふさがったとのことでした。 W 斥候でもあるので明確に敵と分かるほかは発砲ままならず、 石をその化け物に投げつけたそうですが、 消えないどころか、よけい背が高くなってきたそうです。 祖父は「化け物は後ろにいる」ものだと聞いたことがあるのを思い出し、 真後ろに石を投げつけたところ、化け物は消えたそうです。 外国で一つ目入道というあたり?という感じなんですが・・^^。 彼のお爺さんが猟師をしていた頃、山にヒトクチと呼ばれる化け物が出たという。 獰猛な肉食獣で、獲物を一口に呑み込んでしまうことから、この呼び名がついたそうだ。 凶暴な性質の上に知恵もまわり、罠には絶対に掛からなかった。 村人から犠牲者が出るに至り、ついにヒトクチを退治することになった。 大規模な山狩りをおこない、とうとうヒトクチは仕留められた。 死体を改めてみると、異形の姿をした山犬のような獣だったらしい。 黒い体毛は短くて、身体の大きさは牡鹿ほどもあり、異様に頭部が大きい。 恐るべきことに、体長の半分近くを顎が占めていたという。 村には死体を入れずその場で焼いて埋め、塩を撒いたのだそうだ。 人間は深い山の中まで、理由もなく踏み入っちゃいけない。 一体全体、どんな怖いものが出てくるか分からないから。 お爺さんは彼にこう言っていたそうだ。 その日は仕事が長引き、帰るのが深夜になったという。 顔馴染みのタクシー運転手を呼び、送ってもらうことにした。 道中、その運転手がおかしなことを言う。 「山越えのルートを避けていいですか?」 かなりの遠回りになる。 一言の元に拒否すると、 「料金はいつも通りでいいです。 いや負けてもいい。 お願いします」 さすがに気になって理由を問うてみると、山越えルートの途中に峠道があるのだが、 深夜を過ぎるとそこは通りたくないのだと言う。 「お客さんがいようがいまいが、あれはお構いなしなんですよ」 それだけ言うと、運転手は口を閉ざした。 それ以上はどうしても教えてもらえなかったという。 結局、いつもより安い金額で、遠回りして帰宅したのだそうだ。 瀬戸内の小島に遊びに行った時のこと。 小高い山に蜜柑畑が連なっており、ひなびた雰囲気が好きな彼は、 その中をのんびりと歩いていた。 内海が一望できる開けた場所で、荷物を枕に昼寝を始めたそうだ。 ふと気がつくと、彼の傍らで痩せた犬が一匹、尻尾を振っている。 頭を撫でてやると、犬は彼の手を舐めて鼻を鳴らした。 匂いを一頻り嗅いだ後、安心したように彼の側で横になる。 一人と一匹でそのまま転寝を始めたという。 目が覚めた。 数時間も寝たろうか。 大きく伸びをして横を見ると、犬の姿は見えず、代わりに別の物が目に入った。 犬の白骨がすぐ横で、半分土に埋もれていた。 眼窩から伸び出たハルジオンが一輪、花を咲かせていたという。 なぜか怖いとは思わず、「犬も寂しかったのかな」などと考えたという。 骨に手を合わせてから、山を降りたのだそうだ。 そこの人たちは近隣の集落とあまり関わりを持たなく、訛りも特殊。 血縁で固まっているのか姿形も似ていて、色黒小柄で彫りが深く、 日本人離れした風貌をしているらしい。 この集落にある豊穣を祈る祭りで、人形に男衆が小便をかけてバラバラにして、 段々畑に撒いて埋めるという。 昔は人形ではなく女の子を使っていたという伝説があり、 戦前には近隣で神隠しがあった際、 いきり立った他村の人たちが押しかけて一触即発になったという。 今は過疎化して廃村になってるらしいが、その場所に訪れる人もほとんどいないとのこと。 確か、ほかの山スレで(オカルト板だったかどうかは覚えていない)、 似たような目撃談を読んだ覚えがあります。 夜中に小屋を覗いたら、町の小父さんたちが縛られた娘に小便をかけて笑い合っていた、 という内容でした。 もしかしてマジ話だったんでしょうか? そしてその娘さんは一体どうなったのか!?? 伝統行事とか風習とか関わってくると、 人間て結構残酷なことができるようでゲンナリします。 願わくば、後味の悪い話ではなかったことを・・・。 アメリカに留学した時、学生仲間でキャンプに出かけた。 開拓時代からある古い山小屋を改修したケビンに泊まったのだそうだ。 夜中、彼らは全員そろって目を覚ますことになる。 どこからか、子供の泣き声が聞こえてきたのだ。 不気味なことに、姿は見えないが明らかに建物の中でその子供は泣いていた。 一人が勇気を出して「どうしたの?」と声をかけてみた。 返事は返ってこなかったが、子供の泣き声に変化が生じた。 ・・・お婆ちゃーん、お婆ちゃーん・・・ 皆が見守る中、ケビンの床より黒い影がすうっと浮き上がって来た。 腰の曲がった老婆のようだ。 床を手探りしながら、声を出して探し始める。 坊や、坊や、ああ何処に行ってしまったんだい? 老婆が顔を上げると、友人たちは思わず「ひっ」と声を上げてしまった。 老婆の眼はえぐり取られて黒い空洞になっており、喉はぱっくりと切り裂かれていた。 見えない両眼で、それでも坊や坊やと呟きながら床の上を探り続ける。 女子の一人が金切り声の悲鳴を上げ、ケビン内は一時騒然となった。 よそのケビンからも人が駆けつけてきたが、パニックはなかなか静まらなかった。 ようやっと皆が落ち着いた頃、老婆の姿は消えてしまっていた。 泣いている子供の声も聞こえなくなっていた。 後で聞くと、そこに住んでいた開拓者たちが野盗に襲われた記録があるそうだ。 しかし、犠牲者が出たとかそういう類の内容は記されていなかったという。 トンネル建設のため中国地方の山中を採掘機で掘削中、急に機械が停止した。 何があったのか前へ確かめに行くと、 作業員の一人が 「なんで機械が止まったのか分からないのですが、こんなものが・・」 と足元を指差した。 そこには多数の墓石が散乱していた。 そういう墓石とか骨が出てくるのはさして珍しい事ではないのだが、 不思議なのはその場所だ。 その地点は200メートルくらいの山のちょうど中心。 いうなれば、山をそのまま墓地の真上にドンと落とさなければ、 このようなところから出てくるとは考えられない。 人工的な山ではないし、以前に穴を掘った跡のようなものも見受けられなかった。 首をひねりつつも工期に遅れるわけにもいかないので、そのまま工事を行い完成に至った。 ヘリや飛行機で行けるのだが、途中ごく稀にヘリの事故が起きる。 ヘリ自体が気流に乗らなければ不安定になってしまう造りで、 上手くそれに乗らなければ、失速して急降下してしまうこともままある。 あるパイロットから聞いた話なのだが、 グランドキャニオンへ向かう途中、過去墜落事故があった地点を通ると、 まるでエアポケット現象のように、機体が急降下してしまう場所があるという。 パイロットは 「そこでは必ず彼らに引っ張られるんだよ。 立て直すのに大変だ」 と苦笑していた。 そしてついこの間、同乗していた客が、その彼らの姿を見たのだという。 彼らの姿は、下半身がなく目は窪み、頭からどす黒い液体を流し、 ヘリの『足』にぶら下がって、まるで登ってこようとしていたのだという。 その目撃があってから、パイロットはその場所を通るときに、 『君らも乗るといい。 グランドキャニオンの素晴らしい景色を見れば安らぐよ』 と心の中で語りかけると、 機体が引っ張られる感じは消えて、代わりに機体が重くなったという。 しかし何故か、帰りには重みや違和感が消えていたらしい。 パイロットは、 「彼らはヘリの墜落で、グランドキャニオンの景色が見れずに亡くなった方達だろう。 一緒に連れてって見せてやれば満足するさ。 タダ乗りだがね」 と笑って言った。 彼のお婆さんの実家の村が、まだ土葬をしていた時代のこと。 家で不幸があり葬儀の準備をしていると、隣村から親戚がやってきた。 親戚は家人に、隣村でカジリが出たと伝えたのだという。 カジリというのは文字通り齧る化け物で、死体を掘り起こして食べるのだそうだ。 どんなに墓の番をしても、夜の間に棺桶の中から死体は消え失せ、 朝には食い散らかされた死体が、村外れに投げ棄てられていたという。 死体を食べられてしまった家には、災いが起こるといわれていた。 カジリは経文や仏具が苦手とされていたという。 しばらくの間、その村で埋葬された死体は、身体中に墨で経文が書かれていた。 お婆さんがまだ幼い頃、彼女のお婆さんから聞かせてもらった話だそうだ。 秋の山を単独で縦走していた時のこと。 開放されていた山小屋に泊まったのだという。 気温はまだ暖かく、虫の声が心地よく響き、空には満月がかかっていた。 酒好きの彼は、日本酒を瓶ごと山に持ち込んでいた。 今夜は美味しい酒が飲めそうだと、ウキウキしながら酒宴の準備にかかる。 つまみを出そうと、机の上に置いた酒瓶に背を向けた時。 ポンッ 背後で栓を抜く音がした。 続いて喉を鳴らすような音が聞こえる。 恐怖よりも先に酒を飲まれた怒りの方が強く、彼は怒声を上げて振り向いた。 そこには誰もいなかったが、酒は三分の一ほど分量が減っていた。 「一言でもあれば、一緒に飲んでやったのになあ」 彼は相手の酒エチケットの無さを、今でも責め続けている。

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